家族構成
1995年のデータ(厚生白書平成10年度版)では、全世帯に占める核家族世帯の割合は58.7%です。ただしここでの核家族世帯は、夫婦のみの場合や片親と子供からなる世帯も含んでいるので、夫婦プラス子供という狭義の核家族(以下核家族は狭義の方を使います)を取り出せば、パーセンテージは34.3%になります。一方で単独世帯は、全世帯に対して25.6%を占めています。傾向としては、核家族世帯は減少、単独世帯は増加なので、新しいデータを取り直せば、核家族世帯と単独世帯との差はもっと少なくなるでしょう。単独世帯には単身赴任者も含まれますが、目立って増えているのは、未婚者と高齢単身者です。
住宅を設計するには、家族構成をまず想定しますが、そのときに無意識に思い浮かべてしまうのが、夫婦と子供からなる核家族です。あたかも核家族が標準で、他の家族構成はそれからの派生であるかのように考えがちです。例えば、単身者が住むワンルーム・マンションは、あくまで仮住まいであり、夫婦のみの世帯は、子供が生れるまでの過渡期である、というように。そこでは、あたかも結婚して子供を育てるのが最終目的であるかのようです。しかし結婚しない人は増えていますし、子供を持たない夫婦も増えています。老後を家族の世話にならずに過ごしたいという人も増えています。最近読んだいくつかの本では、パーセンテージとしては3割程度しかない核家族のための住宅が、あたかも住宅の標準タイプとして流通するのはおかしいのではないかと指摘されていました。確かに家族構成が多様化しているのに、供給される住宅は画一的なパターンに陥っています。
画一的なパターンというのは、LDKと夫婦の寝室それに子供の数と同数の個室からなる住宅のイメージです。nLDKタイプ(nは個室の数)と呼ばれます。このパターンに従えば、設計は確かに楽ですし、住宅産業やマンション業者にしても、住戸タイプを絞り込めるのでメリットがあります。そのために、もはや現実の家族構成にそぐわないと誰もが気づきつつも、形式は踏襲されていくのです。
核家族というのは、戦前のような家制度から自由になるためには大きな役割があったと思いますが、現時点ではその役割を終えつつあります。家族の問題というのは、建築家が立ち入りにくい領域ではありますが、でもやはり避けては通れない問題です。家族構成の多様化に対応して、どのような住居形式がふさわしいのか、原点に帰って考える必要があります。
