台風の被害は昔からありますが、最近では台風ではない豪雨の被害が増えています。しかもそれが平坦な都市部で、狭い範囲に集中するというのが特徴です。
これにはふたつの側面があります。ひとつは気象的な側面。温暖化やヒートアイランド化が関係しているといわれています。もうひとつは、都市のインフラ的な側面。たとえば、都市部では地表がコンクリートやアスファルトで覆われているので、雨水は即座に河川や下水道に流れこみます。それがそれらの排水施設としての許容能力を超えてしまい、路上に水が溢れるという結果をもたらすわけです。またヒートアイランド現象の大きな要因は、水の蒸発熱による地表の冷却が行なわれなくなったことだと言われているので、地表をコンクリートやアスファルトで覆ってしまうことは、二重の意味で都市型の水害の原因になっているとも言えます。
インフラ面について言えば、建築のつくりについても考えてみる必要があるでしょう。台風などで増水が予想される地域では、家は高台につくられたり、あるいは平地の場合でも地盤を少し上げて建てるという工夫がされてきました。最近は治水技術の進歩もあって、そうしたことに無頓着になってきているのかもしれません。都市部では、地下階や地下街等、水害に対して脆弱性をかかえる施設が次々とつくられています。もちろんこれらの施設では、ポンプによる排水が行なわれるようになっていますが、停電や発電機の故障等、複合的な事故を想定すれば、絶対に安全とは言い切れません。
住宅についても、利便性やバリアフリーの視点からは、居室が1階にあって、床が低い方がいいのですが、住宅が水に浸かるような状況を想定すれば、高床式や2階に居室のある住宅の方がいいということになります。また構造的にも、地震に対して安全なだけでなく、水に流されないような構造というのが必要になってくるでしょう。そうすると、木造でいいのかどうかという議論にもなってきます。
水害というネガティブな要因に促されたものだとはいえ、これからはその地域ごとの特性を考えた建築というのが必要になってくると思います。
