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変動時間制労働市場

 価格が変動することで不均衡が解消されるというのが、経済学の理論である。たとえば貿易不均衡がある場合、為替レートが変動することによって均衡が回復するということになる。しかし現実はなかなか理論通りにはいかない。価格で調整するということにそもそも無理があるのではないか(価格の硬直性)。そこで労働市場を例に、価格ではなく、時間で調整することを考えてみる。

 1日8時間を労働時間の標準と仮定する。報酬は、正社員もアルバイトも、時給換算されるものとする。1時間当たりの最低賃金は保証されているものとする。

 人が1日8時間以上働きたいと思うのは、そうすることにメリットを見出すからである。たとえば技術革新が行なわれたときなどである。新しい商品を人より早く手に入れようと思ったら、当然労働意欲も高まるだろう。景気の上昇局面では、こうした連鎖が見られる。だがこうした状況を放っておくと、景気が過熱しすぎて、最終的にはバブルの崩壊という形で幕を閉じることになる。

 景気の上昇曲面での過熱を抑制し、逆に後退局面では労働意欲を刺激するような方法を考えられないか。そこで登場するのが、変動時間制である。

 1時間は、標準的には60分だが、他人よりも多く働きたいという人がいる場合には、1時間が65分になったり76分になったりする。もちろんこれは需給によって決まる。他人よりも1分でも長く働きたいという人が多い場合には、1時間が120分になったりすることもあるだろう。逆に、誰もが労働意欲を失っているような状況では、1時間が50分になったり、30分になったりする。もちろんどちらの場合も時給は一定である。

 そうすると、働けば働いただけ豊かになれると信じていた人も、ある一定の限界に到達する。1時間のレートが120分になった場合、1日の3分の2 を労働に当てなければならなくなる。余暇もなくなるし、時給が一定だから、実際には収入が増えるわけではない。こうして労働に一定の歯止めがかかるのである。逆に景気の後退局面では、際限なく生産が縮小していくプロセスに、ある時点で歯止めがかかることになる。1時間が30分のレートになれば、十分な余暇を確保しつつ、収入も確保することが可能になる。こうして、変動時間制は、景気変動の調整機能を持つことになる。

 人びとは、毎朝日経新聞で、今日の時間レートをチェックするようになるだろう。1時間=70分だと、「今日の仕事終りは、1時間60分換算で19 時50分。ちょっと働きすぎだな。」とか、1時間=48分だと、「1日が30時間か、アフターファイブは、13時間もあるな。」とか考えて行動するようになる。余暇が増えれば消費も増えるので、経済にはプラスに作用する。求職者は、このレートを眺めながら、最適なタイミングで就職すれば良いのである。

 1時間が何分になるかが常に変動する場合、時計の表示はどうするのかという疑問があるかもしれない。これは電波時計を使えば全然問題はない。そのときどきのレートに合わせて、常に時計の表示が変わるのである。店の開店時間や閉店時間も、もちろん毎日変わることになる。高速道路等の制限速度も、そのときどきで変わることになるし、スピード違反の取締りの速度もそのときどきで変わることになる。景気の良いときには、調子に乗ってスピードを出さない方が良いということだろう。

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2011年04月18日 22:21に投稿されたエントリーのページです。

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